宇都宮木鶏クラブ

「人生の法則」 (藤尾秀昭・著)) より

2021年01月18日

2021/1/8

木鶏クラブ

琴線に響く言葉

小森

「人生の法則」 (藤尾秀昭・著)) より

「これからはお前一人になる。 すまんなぁ……」

そして、こう続けた。

「いいか、 これからは “おかげさま、おかげさま”と心で唱えて生きていけ。

そうすると必ずみんなが助けてくれる。 “おかげさま”をお守りにして生きていけ」

それが父の最期だった。

【人の心に光を灯す】

ラジオで聴いた若いOLの話である。

彼女の生家は代々の農家。 もの心つく前に母親を亡くした。 だが、 寂しくはなかった。

父親に可愛いがられて育てられたからである。

父は働き者であった。

三ヘクタールの水田と二ヘクタールの畑を耕して立ち働いた。 村のためにも尽くした。 行事や共同作業には骨身を惜しまず、 ことがあると、 まとめ役に走り回った。 そんな父を彼女は尊敬していた。 父娘二人の暮らしは温かさに満ちていた。

彼女が高校三年の十二月だった。 その朝、 彼女はいつものように登校し、それを見送った父はトラ クターを運転して野良に出ていった。

そこで悲劇は起こった。 居眠り運転のトレーラーと衝突したのである。

彼女は父が収容された病院に駆けつけた。 苦しい息の下から父は切れ切れに言った。

「これからはお前一人になる。 すまんなぁ……」 そして、こう続けた。

「いいか、 これからは“おかげさま、おかげさま”と心で唱えて生きていけ。 そうすると必ずみんなが助けてくれる “おかげさま”をお守りにして生きていけ」 それが父の最期だった。

父からもらった“おかげさま” のお守りは、 彼女を裏切らなかった。 親切にしてくれる村人に彼女はいつも 「おかげさま」 と心のなかで手を合わせた。

彼女のそんな姿に村人はどこまでも優しかった。 その優しさが彼女を助け、支えた。

父の最期の言葉がA子さんの心に光を灯し、 その光が村人の心の光となり、さらに照り返して彼女 の生きる力になったのだ。

「人生の法則」 (藤尾秀昭・著)) より

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