宇都宮木鶏クラブ
大貫
琴線に響く言葉
洗心
(せんしん)
【意味】
手などを洗うだけでなく、心の汚れを洗う清めることの意味。 易経の言葉 「聖
人は此を以って心を洗う」。 古代社会において、国家の意思決定に携わる易者は 「聖人」 であった。 この 聖人が天に社会の大事を問うにあたり、 「占いをもって心を洗い、 精密な天道 の意志に身を任せるべきだ」と説いている。
【解説】 寺院や神社に置かれている手水鉢(ちょうずばち)に、 よく 「洗心」 と書か れている。 「心を洗う」 というと、心に溜まった疲労や小さな悪を洗い流し、
清らかで善なる心になる、 というイメージがわく。 でも、この言葉は元々はそうではなく、 「神様の言葉を聞くのに邪魔になるよ うなことを、心から洗い流してしまおう」 ということ。 つまり、 予見や期待、 固定観念などを洗い流すのである。
強い期待があると、現実に幻滅してしまい、現実を 「そんなはずはない」と 受け止められないことがある。 「洗心」 は、そのような、 現実に起こったことを 「受け入れない」と思って
しまう気持ちを洗い流そう、という意味なのだ。
【言葉からの学び】
誰もが、神仏に 「願いが叶いますように」と祈りたい。 祈りを捧げる前に手 を洗おうとすると、この 「洗心」 が目に入る。 願いをかけるということは、 期 待するということだ。 期待した以外にことが起これば、それは人を失望させる。
その失望から人を救おうとするのが 「洗心」 の言葉だ。
起こったことをそのままに受け止める自由な心を持てば、 未来は怖くなくな
るはずであり、 怖れずに迎え入れた未来は、 落ち着いた日々に変える事が出来
るのではないかと思う。
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