
宇都宮木鶏クラブ
2026年7月 小森俊宣
御道具は使ってこその道具
木村茶道美術館
歴史を経た茶道具は美術館のガラス張りの展示所に保管されています。 大変貴重で高価
なものですので当然のことといえます。
ですが、御道具の本来の目的はお茶を飲むためのもの。
使ってこその茶道具、 皆さんにも手に取ってみてもらいたいと、
全国で唯一、 国宝級のお茶碗を手に取り、お茶をいただくことができる美術館です。
志ある創始者により、 今でも手に取ることができます。
多くの美術館では、貴重な美術品や古美術品はガラスケースの向こう側に大切に
「展示」され、 触れることすら叶いません。 しかし、 木村茶道美術館の最大の魅力
であり、おっしゃる言葉の真髄は、「国宝級・重要文化財級の名品であっても、 実
際にそれを使ってお茶を点て、 お客にお茶を振る舞う」 という独自のスタイルにあ
ります。
この「茶道具は使ってこその道具」という言葉の背景には、 茶道の深い精神性と歴
史が息づいています。
1. 「用の美」 という考え方
茶道具は、鑑賞するためだけに作られた彫刻や絵画とは異なります。
・ お湯を沸かす (釜)
・ お茶をすくう (茶杓)
● お茶を点て、口をつける (茶碗)
これらはすべて「道具としての機能 (用) 」 を持っています。 どんなに格調高く美
しいものであっても、 実際に使われ、 お茶が点てられ、 人と人との間に介在して初
めて、 その道具が持つ本来の生命が吹き込まれます。 これを民藝運動でよく使われ
た 「用の美(ようのび)」と呼びます。
2. 触覚を通じて伝わる歴史とぬくもり
ガラス越しに見るだけでは、その道具の重み、 お湯を入れたときの肌触り、唇が触
れたときの感触はわかりません。 実際に手で持つことで、 数百年前の茶人たち
(千利休や古田織部など)が同じようにその道具を手に持ち、 お茶を点てていた時
の 「歴史のぬくもり」 を、 五感すべてで追体験することができます。 道具と自分
が、何百年という時を超えてダイレクトにつながる瞬間です。
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