宇都宮木鶏クラブ
線に響く言葉
和5年3月3日
手塚久雄
「倉の内の財は朽つることあり身の内の財は朽つること無し」
江戸時代の寺子屋で教科書として用いられた「実語教」 という本である。 「山高きが故に貴からず、 樹あるを以て貴しとす」 に始まるこの書物は平安時代
に書かれたという。江戸時代にもっとも普及したが、 平安から明治まで子供を育
ててきた教科書の極め付きといえよう。 昨今の教科書とは年季が違う。「他人の 憂いを見ては即ち自ら共に患うべし」もその一節である。 また、知識学習を説く部分は福沢諭吉の「学問のすゝめ」に引用され、近代教 育へのバトンとなった。 この 「実語教」をはじめ、古代から現代へ続く 教科書」 の姿が変わりそうだ。 紙の本だった教科書のデジタル化である。
財は無くなるが身に付いた知や徳は無くならない。 上記の網掛け部の言葉は、 短く、解り易く書かれている。 現在の教育に最も大切なことです。 教育ばかりでなく、 自分に問うて行きたく思います。